LESS BUT BETTER ディーター・ラムス
2年前になりますが、府中市美術館で開催された「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代―機能主義デザイン再考」を観に行きました。
ディーター・ラムス氏はブラウン社において40年以上にわたり500を超える製品をデザイン・監修してきたインダストリアルデザイナーとして知られています。
展示ではプロダクトに添えられて、氏によるデザインの十か条が書いてあるコーナーがありました。
そのデザインの十か条を以下にご紹介したいと思います。
Good design is innovative.
良いデザインは革新的である。
Good design makes a product useful.
良いデザインは製品を便利にする。
Good design is aesthetic.
良いデザインは美しい。
Good design makes a product understandable.
良いデザインは製品を分かりやすくする。
Good design is unobtrusive.
良いデザインは控えめだ。
Good design is honest.
良いデザインは謙虚だ。
Good design is long-lasting.
良いデザインは長持ちする。
Good design is thorough down to the last detail.
良いデザインは一貫性がある。
Good design is environmentally friendly.
良いデザインは環境にやさしい。
Good design is as little design as possible.
良いデザインは可能な限りデザインをしない。
この中で特に気になったのが最後の “Good design is as little design as possible”です。
デザインにおいて必要以上の無駄な装飾や設計を避けて、複雑であれば単純に、そんな意味だとは思いますが、それだけだと5番目と6番目の控えめで謙虚であることと意味が重複しそうです。
「デザインをしない」とミニマリズムは別だと思います。
これは最後に並んでいることからも氏の考えた一種の落ちなのだと思えました。
デザインという行為にフォーカスを当てればこの言葉は素通りしていきますが、別の視点から見ればこの言葉は違った意味にとらえられそうです。
すべてがしかるべき当たり前の状態になっていて、エゴもあまり感じられない故に、デザインされていないじゃないか?そんな印象を抱かせる究極の境地に達したプロダクトたちが佇んでいました。